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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 玄関は家族の顔(2)「今の家に夫婦の顔があるか?」

玄関は家の顔で夫婦の顔、家族の顔である

○今回のポイント 1 外観は要望以外にも街並みも考慮する
○今回のポイント 2 外観は家族や夫婦の本質を現わし、美しく整えるポイントは「玄関」部分
○今回のポイント 3 防犯に最も効果的なのは近隣とのコミュニケーション

目を引く外観のインパクトもさることながら、その中に存在する家族の気配や感性や想いが住まいの表情に見えて来るものです。すなわちそこに住む家族の顔となり、それこそが生きたデザインとなるのです。

住宅の外観は、街並みに影響を与える重要な要素

今日のように建て主がいないままにできた分譲建て売り住宅や規格型の住まいはどれも同じ表情のデザインとなり、色調もサイディングベースのモノトーンとなり、街も無表情となってしまいます。そんな淡白な顔の家ばかりが街に溢れる時代ともなると。たまに個性を持った建て主は設計士にせっかくの家だからと、個性あふれる家にしようと頑張ってしまうのです。
ところが、既に各メーカーや分譲住宅を担当する設計者は何千何万の顧客の平均パターンを持っていて、それ以上の形や色彩にはなりません。そこで少しでも目立とうと、つい奇抜な色彩やワンポイントの形でその戦い?に挑むことになります。気が付けば「デザインのためのデザイン」となって、そこに住む家族の本質や街の佇まいを異様な様相にしてしまうことさえあるのです。

かつて、わが師生田勉氏はこれを“美の暴君”と表現し、街はみんなのものであり、一度そこに建てば生涯影響を与え続け、さらに街を煩雑で汚くするものとなりうることを戒めたのでしょう。

玄関と庇で美しく整う家の外観

こうしたことを注意して街の風景を考えながら夫婦家族の要望とを家の形に変えスケッチにして見せると「えっ?これが?」と、けげんな顔をされることも多いのですが、この“けげんな顔”、こそが、本当の「夫婦の家の顔」であることが多いのです。しかしこの客観的な観測によって生み出された「家の顔」こそが、家の中身と一体となった夫婦の顔でもあるのです。一見派手そうに見える奥様が実は光と影を楽しむ日本的な感性の持ち主だったり、反対に家のデザインに無関心だったご主人が、実はおおいに目立ちたがり屋であったりすることも多いのです。

こうして「夫婦の本当の顔」が見えると、家の外観やインテリアの“見せ場”がはっきりしてきます。洋風でモダンな外観でも落ち着いた和のイメージを持ち合わせたり、その外観よりもインテリアがさらにモダンであったりと、目鼻が整って、ハッとさせられるようなセンスの良い家となったりするのです。

こうしてさんざん議論して決めた間取りも、いざ見積もりして予算が出ると・・・「こんな広い家は無理!」などと情けないこともよくあるのです。それもまだ設計途中であればまだしも、建ってから「こんな広い家のはずじゃなかった」「目立ちすぎて家に入るのが恥ずかしい」はもっと悲劇的です。
実は長年家づくりのお手伝いをしていて確信が持てることは、家の外観のすべてや大小ではなく、わが家を主張し表現する方法はあるのです。それこそ端正な面立ちの美人の例えのように、口元と目鼻立ちです。まさしく口元は玄関であり、バランスの良い開口部の目と、玄関を優しく覆う鼻、庇なのです。

優しい目鼻立ちの中に微笑む口元・・・、福が舞い込むばかりか粋ですね。

笑う門の象徴的な顔の玄関 M様邸(設計:天野彰)
<笑う門の象徴的な顔の玄関 M様邸(設計:天野彰)>
ピロティ玄関 O様邸(設計:天野彰)
<ピロティ玄関 O様邸(設計:天野彰)>
日本の家の玄関 Y様邸(設計:天野彰)
<日本の家の玄関 Y様邸(設計:天野彰)>

防犯対策は、まず客観的に自宅を見る目が重要

しかしその優しさの中にも隙があってはなりません。玄関は福以外に侵入者も来ます。最近わが国も治安が悪くなり、とても物騒になりました。空き巣や泥棒、もはや「戸締りにご注意」などといった生やさしいものではありません。ピッキングなどで簡単に鍵を開けられてしまい頑丈な鍵を2つも3つも掛けても、バールなどでドアや窓をこじ開けられてしまうこともあります。さらに頑丈に鉄格子やシャッターなどで対処する方法もありますが、かえって日常生活が不都合となるのです。
そこでハードだけではなく、心理をも含めたソフトで対処するのです。そのためにあえて自分が泥棒の目?になってみるのです。すると無防備で入りやすい家といかにも侵入しにくい家があることに気付くはずです。入られた側はとても腹が立つことですが、あとで冷静に考えてみると、見るからに他よりも入られやすい条件であったことが分かります。

その第一が「見通し」です。表の通りから陰となって見えない玄関や窓や、高いブロック塀の中に入られたら、あとは何でもできそうなのです。家のあちこちをどこからも見通し良くすることです。
その上で「警報」です。その一番が犬です。犬のいる家やその付近の家にわざわざ入る泥棒はいないのです。あの人感、熱感知フラッシュランプなどは夜間効果的なのですが、留守がちな家は警備会社との警報システムです。当初の設置予算と後のメンテナンス費がかかることと誤作動も多く、切ったままになることも多いのです。セキュリティは生活行動と自身の体調・不調通告などを含めたトータルサービスを確かめて設置することが安心です。

しかし、高齢化の時代、何よりも強い防犯装置は、まさしく「向こう三軒両隣」です。災害時の為にも、日ごろからの近隣とのコミニュケーションが何より安心です。

次回は、こうした家族の顔をつくるために・・・「建築家の役割とは?」です。

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★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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