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16坪でも「同居“共働”住宅」?!~「同居“共働”住宅」はキッチンが要!
16坪でも「同居“共働”住宅」?!~「同居“共働”住宅」はキッチンが要!
今にわかに、同居しようとする親と子夫婦が増えているようです。
中には子夫婦がマンションを購入した直後にもかかわらずそれを処分するか、人に貸してまでもわざわざ親と同居しようとする例もあるのです。一方の親の方も大枚1,000万円以上も掛けてリフォームしたわが家をあっさり壊して同居住宅に建て替えると言うのです。
一体どうしたと言うのでしょう?
確かに質は良くなったとは言え、マンションの住み心地は今ひとつなのか、子どもたちが大きくなり手狭となったとか、小さくても犬を飼える庭が欲しいか? あるいは親元で自分たちの好みにあった戸建ての家が建てられればそれに越したことはない。親の元気なうちに資金援助を受けながら建てられる?などと“ちゃっかり”子夫婦もいるようです。
しかしその“こころ”はシリアスで、育児保育など子育てをしながらの共働きのしにくさや、もう一子は欲しいなどの現実と、さらに親の方もこの先の心もとない年金や介護保険をはじめとする行政の頼りなさの老後不安など、今日の世相がそうさせているのでは、とつくづく思うのです。
こうしてあり得る親子間の影の部分を互いに認めながらも、二組の夫婦が一緒に暮らす家は、あえて“活動的な同居”つまり共働き子夫婦と、それをサポートする闊達な親の共同、いや、もっと生産的な“共働”の生活とすべきだと思うのです。
それこそが私が提案する親子「同居“共働”住宅」なのです。
ただ親子の二世帯が同じ敷地を利用して同じ屋根の下に住む合理的な「二世帯住宅」ではなく、こうした生産的かつ積極的な現代版同居住宅で、はつらつとした親子のチームワークの新しい同居スタイルです。いずれ介護が必要となっても、在宅で安心して暮らせ、育児と在宅介護の本質的サポート福祉が可能となるのです。
実際に、高齢の親たちは、さらに高齢者が増え続けるなか、高額な生命保険はもとより、年金支給不安や介護保険の将来など実にやるせない不安の中で暮らしています。
老人保健施設や介護老人施設など多くありますが、それ以上に要介護老人が増えてはたして入所できるのか?またその費用も将来さらに多くかかるかも知れない。さらに肝心の扱いやサービスは?
挙句の果ては最後まで本当に面倒を見てくれるかどうか、施設の経営まで考えると保証の限りではないのです。
そんな中で子夫婦の方は・・・、
「田舎で住んでいる老いた両親が心配」あるいは、「働きに出たいが、子どもが心配。身内が一緒に住んでくれるといい」などと新たな同居願望もあるのです。
この16坪にも満たない二階建てのSu邸は、親たちが長年住んできた貸家を親子で買い上げ「同居“共働”住宅」に建て替えたものです。一階が親御さんの住まいでそのリビングは洋服の仕立ての作業場兼用となっています。しかしその狭い中に親御さんの六畳の和室と専用のキッチンと共同の浴室があるのです。
二階へのアクセスは互いのプライバシーを確保できるよう、玄関から直接上がれる階段があり、さらに子夫婦の専用のキッチンと和室の寝室兼居間と孫たちの部屋もあるのです。総床面積16坪と狭いながらも、二つのキッチンとさらに上下二つのトイレ、親子が働ける作業場がある立派な「同居“共働”住宅」となっているのです。
■イラスト:16坪でもできる同居“共働”住宅プランSu邸(画:天野彰)
■写真1:玄関からストレート階段で二階へ(ko様邸:上)
■写真2:階段下にも引き出し式収納(ko様邸:下)
こうした最小限の同居プランを見るとよく分かるように、「べったり同居」は、一緒にくつろいだり働いたりする互いのリビングダイニングを階段で挟んで分けて配置し、そこに互いのキッチンを設け、さらにその奥に寝室を置いて互いのプライバシーを守りつつ一体で生活するのです。この基本プランさえ守ればすべての「べったり同居」は成功し「同居“共働”住宅」となるのです。
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次回2013/8/17日(土)はお休みさせていただきます。
8/24(土)「『べったり同居』プランはキッチンが要!」 お楽しみに♪
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